人間の欲には果てがない。それは塩水を飲むものが、いっこうに渇きが止まらないのと同じ。いつまでたっても満足することがなく、渇きはますます強くなるばかりである。
昔の偉い人がこのような言葉を言っていました。
私たちの欲望には際限がなく、たとえお金が雨のように降ってきたとしても、それで満ち足りるということはないと。
私たちは、お金が欲しい、美味しいものが食べたい、名誉が欲しい、地位が欲しい、と思ってしまうのが普通です。これらの欲はたとえ一時的に満たされたとしても、完全に満たされることはなく、人間の心はさらに多くのものを求め続けます。
では、そのような心とどう付き合っていけばよいのでしょうか?
欲望の快楽の味は短くて苦い物だと知るのが賢者である
こういった言葉もあります。
欲を満たした時の快楽は長く続かず、それがやがて苦痛にも繋がることをしっかり認識している人が賢者であるという言葉です。
常に求め続けてしまう心の性質をしっかり自分で認識しながら、自分自身の欲を客観視することが大事になると思います。
私たちの心は基本的に周りと比較する中で欲が際限なく膨らんでいきます。周りと比較してもキリがなく、自分に失望したり周りに嫉妬してしまったりと負の気持ちばかり大きくなります。
作家の村上春樹さんが、以前こんな話をしていました。
我慢して激しく運動した後に飲むキンキンに冷えたビールは、一人で目を閉じて思わずつぶやいてしまうような小さな感動と興奮。そういった「小さな幸せ」のない人生なんて、カスカスの砂漠のようなものにすぎないと僕は思うのだけれど。
ありきたりな日常の生活の中に、このような『小さな幸せ』が潜んでいます。休日の朝に焼きたてのパンをかじりながら、ゆっくりコーヒーを飲む。心地良い天気の日に公園で子供と走り回る。人によって様々なカタチの「小さな幸せ」があるのではないでしょうか? そのような、ささやかだけれども確かな幸せをしっかり噛み締めることによって、渇いた心に潤いがもたらされるのです。
人間の欲には、果てしがありません。自分の心に生まれたそのような欲を客観視しながら、誰にも邪魔されない自分なりの「小さな幸せ」を発見し、それを着実に増やしていく。
大きな幸せに向かって、膨大な量の努力をするのは素晴らしいことです。しかし、それによって心身がすり減ってしまえば、人生はつまらないモノになってしまいます。身近にある『小さな幸せ』にもう少し目を向けて、一日一日を豊かに、幸せな毎日にしていきましょう。
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